表彰作品概要紹介(2025年度)

テーマ:東アジアの平和な未来のために私ができること

【最優秀賞】 大竹 佳祐

「東アジアの歴史認識の可視化とステレオタイプ脱却の試み」

  • 提案の背景
    SNSや日常会話で国民性や歴史への偏見があふれている現状に違和感を覚え、日中韓それぞれの歴史教育の違いが対立感情を深めていることに問題意識を持った。既存の研究や政府間の取り組みは限界があり、若い世代自身が歴史認識の違いに向き合う場が必要だと考えた。
  • 取り組み内容
    東アジア各国の学生が自国の歴史教科書を持ち寄り、近現代史の特定テーマを比較・分析。違いや共通点を整理し、共同でポスターを制作・発信することで「歴史認識の可視化」と「ステレオタイプからの脱却」を目指す。
  • 実施手順
    オンライン会議で教科書の記述内容を比較し、議論を重ねる。成果を共同ポスターにまとめ、SNSや学校・公共施設で公開。これにより参加者の批判的思考や共感を育むとともに、コミュニティ全体へ学びを広げる。

【優秀賞】 後藤 幹弥

「東アジアの未来と国際理解教育 −日韓関係を中心とした文学作品によるアプローチ−」

  • 提案の背景
    未来の平和を担う人材の育成には「教育」が不可欠だと考えた。特に日韓関係の歴史的・文化的課題に関心を持ち、韓国語を学び、民族学校での学びを経て、教育を通じた関係改善の必要性を強く感じるようになった。
  • 取り組み内容
    高校の韓国語授業において、国際理解教育の観点を取り入れる。具体的には、日本統治時代に生きた詩人・尹東柱の詩を題材に、文学を通して歴史的背景を考える授業を実施し、生徒に他者の視点から歴史を理解する力を養う。
  • 実施手順
    授業では文学作品を読み取り、当時の社会や人々の苦悩を学習者の感性に基づいて考察。解釈の多様性を尊重しながら議論し、相互理解の姿勢を育てる。教育実践を通じて、日韓の未来を担う世代に共生の基盤を築く。

【優秀賞】 松本 雛

「市民外交の第一歩としての未来インターン」

  • 提案の背景
    東アジアの平和を妨げる要因のひとつは、市民レベルでの無理解と偏見にあると感じた。政府間の緊張は市民の思い込みにも支えられており、若い世代が相互理解の経験を持つことが必要だと考えた。
  • 取り組み内容
    「東アジア未来インターン構想」として、高校生がオンラインで中国・韓国・日本の企業やNPOと協働し、共通の課題解決に取り組む短期型プログラムを提案。現地に行かずともリアルな課題に関わることで、互いに未来を共に築く仲間として実感できる。
  • 実施手順
    まずは学校内に「アジア課題研究会」を立ち上げ、国内のSDGs団体や大学生と協働テーマを模索。次にオンラインで海外の団体と連携し、高校生チームが調査・企画・発信を行う。小さな一歩を積み重ね、若者の越境的な連帯を平和の基盤として広げる。

【入賞】 山極 尊子

「母として、教育者として──平和へのバトンを渡す」

  • 提案の背景
    韓国で日本語教師として活動するなか、脱北女性たちが社会的排除や偏見に苦しむ実態に直面。母親として、教育者として「違いを恐れず偏見を持たない子どもを育てること」が平和の第一歩だと痛感した。
  • 取り組み内容
    北朝鮮出身の女性たちの声を研究や絵本制作を通じて社会に発信。日本や韓国の子どもたちに「違いを認め合う物語」を届け、多様性を理解する感性を育む。
  • 実施手順
    研究者やクリエイターの方々と協力し、子供たちの心に届く良質で教育的な創作活動を展開し、発信を続ける。

【入賞】 高木 一

「東アジアの平和な未来のために私ができること」

  • 提案の背景
    東アジア各国の歴史認識の違いやSNSでの感情的対立に問題意識を持ち、制度や合意だけでは届かない「感情の層」に注目する必要を感じた。
  • 取り組み内容
    「文化的贈与の定例化」と「記憶と願いを匿名で共有するSNS《カコサキ》」を提案。国家間ではなく市民レベルで、言葉や物語を贈り合い、共感を育てる対話を目指す。
  • 実施手順
    まずは自作の物語や詩を国際交流の場で贈るなど、個人の行動として実践を開始。並行して《カコサキ》の試験的な運営を行い、匿名で記憶や願いを共有する社会実験を進める。

【入賞】 山本 美和

「平和は日常から生まれる」

  • 提案の背景
    国際情勢に左右されず、市民一人ひとりの小さな行動が平和を育むと考え、生活拠点である札幌でできることに注目した。
  • 取り組み内容
    日常の交流を通じて外国人住民との関係を深める草の根活動と、誤情報に流されない情報リテラシー向上の二本柱で行動を提案。
  • 実施手順
    スーパーやボランティアで出会う外国人と積極的に交流。国際イベントや文化交流に参加し、共通の体験を重ねる。同時に、多角的にニュースを読み、SNS発信では対立をあおらない表現を意識。これらを日常的に実践することで、平和の基盤を広げる。

【(入賞)特別賞・環境問題】 佐々木 浩平

「川をきれいにする友情計画——日中韓の学生がつなぐ未来」

  • 提案の背景
    江戸川の清掃活動に参加するなかで、川のごみ問題が日本だけでなく韓国の漢江、中国の珠江などとつながる共通課題だと実感。環境問題を通じて日中韓の信頼を築ける可能性に気づいた。
  • 取り組み内容
    日中韓の若手起業家や学生を集めた「共創キャンプ」を企画し、清掃活動とITを組み合わせて河川の環境改善に挑む。文化交流も盛り込み、「ごみゼロ・対立ゼロ」を共通目標に据える。
  • 実施手順
    江戸川クリーン活動と並行してデータ収集やアプリ開発を実施。成果をポスターやアプリとして公開し、翌年以降は韓国や中国に活動をリレー。共通データを各国で共有し、科学的根拠に基づいた国際協力へ発展させる。

【(入賞)特別賞・学生交流】 五味 愛琳

「オン・オフライン交流が東アジアを変える」

  • 提案の背景
    日韓関係は政治的に揺れ動き、時に市民感情も対立する。だが実際に交流すれば誤解は解け、友情が芽生えることを自身の経験から学んだ。従来の交流は規模・頻度ともに限られ、効果が続かない課題がある。
  • 取り組み内容
    オンラインとオフラインを組み合わせた継続的な国際交流プログラムを提案。中高生を対象に、早い時期から相手国の言葉や文化に触れ、違いを「違い」として理解する姿勢を育てる。
  • 実施手順
    1・2年次はオンライン交流を重ね、3年次には修学旅行として直接訪問。3年間継続することで、相手国の人柄や文化を深く理解し、政治やメディアの影響を超えた友情を築く。

【(入賞)特別賞・医療現場】 金田 侑大

「顔の見える医療が築く平和の架け橋」

  • 提案の背景
    東アジア出身者を含む外国人患者が増える中、日本の医療現場では言語・制度の壁が大きな障害となっている。医療への不安や疎外感は社会的対立を生む要因ともなり得る。
  • 取り組み内容
    通訳体制や制度が不十分な中でも、患者とのコミュニケーションや地域団体とのつながりを持つことで。患者が困ったときに対応できる顔の見える関係性をつくっていくこと。
  • 実施手順
    診療時にはゆっくり丁寧に説明する、AIツールの活用をする、通訳や支援団体とつなぐなど、個別の関わりの積み重ねをして、やがて東アジア全体の平和構築に広げていく。

【(入賞)特別賞・国際認識】 安藤 悠朔

「平和を築くための教育 ~原爆と国際的な認識の差をめぐって~」

  • 提案の背景
    東南アジアへの訪問を機に、被爆国である日本と、国際社会との間で原爆の認識に差があることに問題意識を持ち、実際に認識の違いを調べてみた。
  • 取り組み内容
    日本の被爆体験者が少なくなるなか、歴史を語り継ぐことと、情報を発信することが必要と考えた。
  • 実施手順
    記念館や博物館を訪問するなどの体験型の教育の場をつくることと、SNSを活用して海外に向けても情報発信をしていく。

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